3 「むすぶ」


夏休みの間、俺と結は叔父さん夫婦の目を盗んではセックスした。

たとえば、お風呂場で。
立ったままの結に、後ろから。

結「あぁぁ!? 感じちゃってるよ、ボクっ……! 奥に、こつん、こつんって当たって……またイッちゃいそうになってるのぉ!」
正一「お、俺もだ……うぅ!?」

もちろん、コンドームはつけていた。

たとえば、夏祭りの会場、その外れで。
浴衣姿の結と、木を背にして向かい合わせに。

正一「下着はいてこなかったのか?」
結「だって、ショー兄に脱がされるの分かってたもん……はぅぅ!」
正一「声が大きいぞ」

たとえば、海水浴場のトイレで、水着を着たまま。

海水浴客「おーい、誰か入ってるのかー?」
正一「いま出てったら、バレちゃうな」
結「でもやだぁ、やめないで……!」
正一「しょうがない」
結「あぅん! んっ、んんっ!?」


そうして。
10年ぶりに訪れた小樽での夏休みは、あっという間に終わった。
両親が帰国して、2学期を前に実家へ戻る前日。

結「ねえショー兄、行っちゃうの?」
正一「ああ。俺も寂しいけど、また来るから」
結「本当に?」
正一「すぐに、な。約束だ」
結「約束だよ」
叔母「結は、すっかり正一君にベッタリね」
叔父「なんなら嫁にもらってくれてもいいんだぞ」

気付いていないと思うけど、こんなやり取りに心の中ではビビっていた。

小樽駅まで送りに来た結に、改札を抜ける前に「またな」と声をかけた。
うつむいていた結が「待って」と声をあげて、振り返る。
不意にキスされて、俺も、周りの人たちも驚く。

結「ボク、待ってるから」

列車の中から流れていく景色を見て、この夏の出来事は夢だったんじゃないかと思い始める。
一夏の夜の夢だったのではないか。

正一(いや、夢で終わらせてたまるか)

そして――

翌年、4月。

結「しょ……ショー兄!?」
正一「な? 早かったろ?」

まだ雪の残る小樽に、再び俺は立っていた。

結「どうしてここに?」
正一「こっちの大学に受かったんだ。だから、今度からは……すぐ近くだ」

叔父さん夫婦の目の前だというのに、抱きしめ合った。

叔父「落ちたらバツが悪いからってな、口止めされてたんだ」
結「そうなの?」
正一「ああ、悪かった。夏の時点では、微妙なラインだったからな。頑張ったんだよ」

いっそう強く抱きしめられ、久々にその温もりを確かめた。

叔母「あらあら、もしかしてこれは……」
叔父「そうか、結と正一は……」
正一「あははは……」

俺たちの新しい季節が始まろうとしている。
色んなことがあるだろうけど、二人で歩んでいきたい。




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