「バイオハザード4」


私は、手放しでエンタテイメントを
誉めたことは1度もない、と自覚している。

考えてもみて欲しい。
「これが最高だ!」等と言える娯楽など、
何処にもありえはしないから。

だから、私のこのレビューを読む前に
誤解されぬよう書いておきたい。

私がここで出した星5つの評価は、
素晴らしいゲームだったという
感想を意味する。

しかし、これが何の欠点もなく
どのユーザーも楽しめる、
「究極のエンタテイメントなどではない。

では私が、他人に勧めたいと思うまでに
至った……このゲームの良い点を
独断と偏見を交えて、半ば「感想文」的に
書いていくとしよう。

まず私がプレイを始めてみて、
違和感を覚えたのが操作系だった。

今までのバイオハザードは、
俯瞰視点のカメラから見た映像の真ん中に
操作しているキャラが映っていた。

しかし今回はプレイヤーキャラの後方から
その人物が見ている方向にカメラが向けられている。

なぜ、そうなったのか?
理由は至って簡単、メインの武器となる
銃火器に必ずレーザーポインターが
付いているからである。

これが俯瞰視点では、
自分がどの敵に向けて銃を向けているのか
分からない。

海外では古くから愛されている、
FPSと呼ばれる一人称視点の「撃つ」ゲーム。
これが、ここまで面白いものだと
私は思わなかった。

襲い来る化け物たち。
敵に向けて、少しずつ……もしくは
急接近してくる敵に向けて銃を撃つ!

では、いつ撃つのか?

どれくらいの距離で放つのか。
敵が多い場合は、どの敵から撃てばいい?

今持っている武器が、弾の拡散する
ショットガンタイプならば引きつけてから
撃てばいいのだろうか。

いいや、こちらの体力の殆どを奪う
非常に危険な敵が近くに居たらどうだろう?

そこに辿り着く前に登ったハシゴを蹴り倒せば、
敵がそれを使って此処に
辿り着くのを防げるのではないか?

いいや、ここは一時撤退するために
窓を割って飛び出ればいいだろうか?

ゲーム中に進んでいくあらゆる場所で、
このような仕掛けが用意されている。

これにより戦略性が発生する。
戦わずにやりすごす、
強力な弾を温存しながらにして
敵を倒すことも可能になる。

よって、仕掛けや、その場所を覚えた
2周目以降などは難易度の高いモードに
挑戦することが気軽になっているだろう。

ここで、その仕掛けの一部を紹介する。
たとえば、
窓の近くでAボタンで飛び出す。
ドアの前でAボタンで開ける。
Aボタンを連打すれば「蹴破る」になる。

そして、それら1つ1つの行為、
その選択の「成功」「失敗」そのものが
ただの自己満足で終わらないようにするため、
新しい要素が加えられている。

武器の購入や改造……が、それである。

敵を倒せばお金が出現したり、
弾を落としたりする。

お金を溜めてもよし、弾を撃っても良し。
そして弾を売り払って金に替えてもよし。
使わなかったライフ回復アイテムを売れば
弾とは比べ物にならないお金になる。

今回のバイオは護衛するターゲットが存在し、
その人物のライフ回復にも
同じアイテムを使うため、その点でも
戦略性を強めていると言えるだろう。

1度クリアーすれば、桁違いに高いが
強力な武器を購入できるようになるため、
それを使ってみたい衝動に駆られて
プレイするユーザーも多い筈だ。

私が評価したい部分は他にもある。

どのゲームにもあるイベントシーンを、
単調な「話を説明する部分」として
終わらせない為に、
1つのイベントシーンの中に
幾つもの分岐点を用意してあるのだ。

話が幾重にも分岐するわけではない。
失敗すれば、即、死が待っているだけだからだ。
そしてコンティニューすれば、直前から
やり直せるためストレスはそう強く感じない。

たとえば、シーンの中で何の前触れもなく
ナイフが主人公に向けて投げられる。
A+Bボタン、もしくはR+Lボタンを
一定時間内に押さなければ、死が待っている。

だが、冷静に考えると取る処置としては
2種類しかないのだ。
決して「難しく」は、ない。

よく、ゲーム業界を志望する専門学生が
「シンプルな操作で楽しめて、
 奥の深いゲームを……」
などというキャプションを載せた企画書を
持ってくるのを目にしたものだ。

言うは易し、行うは難し。
手に取ってみて面白そうに見える
企画書を作成するだけでも非凡なセンスや
行動力が求められることだろう。

それを商品として提供することは、
向かい風のただ中にあるゲーム業界には
非常に難しいように、私は思う。

だが、このゲームは多くの点で、それを
満たしていると言えるのではないだろうか。

18歳未満はプレイできない、と
記載されているが、私はそうは思わない。

そんなものは、あくまで一つの文化として
認められるに至ったゲームが
持たざるを得なかった建前に過ぎない。

良質なゲームは、感性の鋭い子供のうちに
プレイして欲しい。
確かにグロテスクな演出はあるし、
自分がボタンを押せばモンスターの頭は
「気持ちよいくらい」に吹き飛んでくれる。

ではバイオだけが問題なのだろうか。
否、否。
もっと単純に酷い演出で、
リアリティのあるゲームは
他に幾らでも存在するのだ。

私はこのゲームを、やはり18歳未満……
中学生くらいにもプレイして欲しい。

もし楽しめたなら、それがゲームという文化の
中にある至宝の手触りなのだと、思って欲しい。

いいや、思ったり考えたりする必要はない。
もし言葉にならない楽しさを感じたなら、
それが制作スタッフの何よりの願いだろうと
私は思う。


※ このレビューはゲームキューブ版をプレイした後に書いたものです